「料亭に行ってみたい」「これでBMWに乗れる」とへらへらする史上最年少当選の衆議院議員を見て「なんてふざけた奴だ」と憤慨した記憶がある。後に死にそうな顔で謝罪する姿を見て、ちょっとかわいそうだな、とは思った。当人が述懐する通り、違法でも差別的な発言でもない失言だが、世間から反感を買うのは当然ではある。
20年後、この元議員の講演を尾鷲で聞くことになるとは思わなかった。テレビでの活躍を見る機会もあるが、薄口政治評論家と揶揄(やゆ)されても怒るどころか「僕にぴったりの肩書」と使い倒し、ともすれば難しく荒れやすい政治解説も面白おかしく分かりやすく話す。歳をとるにつれ、あの明るいキャラクターの裏には相応の苦労と技量が分かるようになる。
「尾鷲には来たことはないが、お近づきに」と、尾鷲市にふるさと納税をしたという。話のネタの仕入れる意味合いもあるだろうが、全国各地で講演しているだろうに、この筋の通し方は、なかなかできることではない。よい講演会だった。
(R)