医師や看護師など、資格系の職業について、学校卒業・資格取得後に一定の期間、指定の場所で働くことで返還が免除される奨学金制度がある。医師については三重県は「三重県地域医療支援センターキャリア形成プログラムに基づき、県内の医療機関等で9年間勤務すること」を条件に、三重大学医学部医学科の学生に奨学資金を出している。
医療人材確保の一方、学ぶ意欲があって経済的に厳しい人への支援という側面がある。医療人材が不足している地方にとっては、期待のかかる制度と言える。一方で、「お金で将来を縛る」と以前から批判もある。
三重県での話ではないが、指定勤務先を退職したことで、修学費用の一括返済を求められた医師が、請求の法的根拠となる契約は憲法違反として提訴した、というニュースがあった。訴えが認められるなら、条件不利地での医師不足に拍車が掛かる事態が懸念される。原告の言い分も理解できる部分もあるが、同様の申し立てが続けば、医師確保の仕組み自体が崩れることを心配している。
(M)