夏休みが終わると子どもの自殺が多く発生する〝9月1日問題〟がある。悲しいことで、2学期を前に何か呼び掛けができないか書き始めたものの、悩んでいる人に「自殺はよくない」という正論を述べることは果たして正しいのか、という疑問にぶつかった。
死ぬくらいだったら学校なんて行かなくていいが、不登校を安易に勧めるのはいかがなものか。いや、その無遠慮な無理解こそが声を挙げられない子を追い詰めるのではないか。そもそも、悩みは人それぞれで、一概に答えを出そうとする姿勢が傲慢ではないのか。
ぐるぐると悩みながら取材に訪れた潮南中の始業式で、生徒の感謝状贈呈で登壇した警察官の「絶対に死んだらいかん」という呼び掛けには、悩みを吹き飛ばす力強さがあった。辛さも悲しみも人それぞれだが、死んでしまえばやり直すことができない。
全ての悩みを解決することは難しいが、一人で考えるとどうしても考えが偏ったり、思い込んでしまうこともある。孤立しにくい社会の構築が、重要だと改めて感じた。
(R)