熊野古道伊勢路を含む「紀伊半島の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され20年を迎えた。三重県だけでなく、和歌山県、奈良県でも関連イベントが実施され、関係者らが登録20周年を祝っている。
制度の趣旨から当然「保全」が最も重要なキーワードであることは間違いない。熊野古道はかつて、地元の人も通った道だったが、新たなルートができたり、近代の車社会への変化に伴って「埋もれていた」ものを掘り起こした場所も多い。適切に保全されないと、30年、50年先にはまた埋もれてしまう可能性がある。
登録以降、伊勢路は多くの人を呼び込んでいる、地域の観光資源の核の一つだが、登録直後より商店主から「周辺の店舗の売り上げにつながっていない」との声が聞かれるなど、課題は変わっていない。
メリットがなくても「全人類のために保護すべき」遺産だが、地域の人が手弁当で整備していては保全もままならない。歩き旅の客や外国人客が増えている。新たな動きをどのように地域経済の活性化につなげていくのかが問われる。
(M)