おわせSEAモデル協議会の総会で示された事業計画に、木質バイオマス発電の事業化が盛り込まれた。発電量は450キロワットと比較的小規模だが、原材料の安定調達ができれば増設も検討するという。
構想の中で、特にバイオマス発電に注目していた。当初予定していた広域ごみ処理施設の候補地が市営野球場となったことから、活用できる熱源がバイオマス発電のみとなるためだ。
熱源を生かした農業では、製油工場の排熱を利用した「うれし野アグリ」という成功例が念頭にあったのではないか。ごみ処理施設とバイオマス発電の熱源を活用した地場産業の振興はSDGsと地方創生にかなう取り組みであり、非常に先進的かつ野心的なコンセプトだったとも思う。釣り桟橋や海ブドウの養殖などのアイデアが具体的な実益をもたらさなければ画餅となるが、それでもグランドデザインとしては見事である。
SEAモデル構想の本質はまちづくりであり、港湾振興とともに尾鷲市の今後を左右する課題でもある。市長選が近づく中、候補者が構想をどう評価し、どのような展望を描いているのか、市民の一人として非常に注目している。
(R)