デジタル技術の進展が目覚ましい。コンピューター分野では処理能力の速度向上と記憶装置の大容量化、部品類の高集積化・小型化、通信機能の多様化などを背景に、たとえばスマートフォンなどは小型のコンピューターを常に持ち歩いているのと同じと言える。センサー技術の精度向上などの進歩と相まって、歩いた距離や時間、ルートまで記録され、履歴が確認できるなど、これらの技術は本当に身近なところにある。
情報化社会と言われて久しいが、全てのものが情報化され、集積されている。そして、さまざまな情報が「ビッグ・データ」として統計的に活用されている。いままで以上に一つ一つのデータが統合的に利用できるようになっており、今後も活用が広がるとみられる。
個人でも、いろいろなことができるようになっている。ユーチューバーという職業が生まれたのも、自宅で遠隔地の人と一緒にオンラインゲームをできるようになったのも技術の進展のおかげといえる。一方で、使い方によっては社会に大きな悪影響を与えてしまうことになりかねない。典型的にはAI技術を使った偽情報が挙げられる。さも、そのような発言をしているかのような偽動画が、それなりの知識で手軽に作れてしまう社会になっている。
先だって、紀北町でデジタルフェアが開かれた。実用化、商用化されたIT技術やそれを使った事例の紹介があり、約800人の来場者が説明を聞いたり体験したりした。
今後、デジタル化はさらに進み、技術がより身近になると思われるが、使いこなすには指導者が必要で、住民に寄り添ってシステムを開発できたり、住民の技術利用を支援できる人材が必要だ。また「どのような道具も使う人次第」というように、正しくかつ省力的に機器を使いこなせるような教育も必要。地域でデジタル人材育成も進められるような体制構築が重要になるだろう。