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社説「暖房器具更新への補助は」

 「立冬」を過ぎて季節は秋から冬へ移り変わろうとする中、このところの冷え込みで暖房器具を準備する家庭も多いのではないか。11月9日(土)~15日(金)は令和6年秋季全国火災予防運動が実施される。火災は一瞬にして人命と財産を奪う。少しの油断や不注意で発生することが多い。これから年末にかけて寒さとともに周囲が慌ただしくなるが、火の取り扱いには慌てることなく、安全第一を心掛けることが大切だ。

 暖房器具は定期的な点検が必要で、調子の悪いものはシーズンが始まる前にメーカーや店舗に修理を依頼するのがよい。灯油を燃料とする石油ストーブに関しては、最近の製品はさまざまな安全装置が付いているものの、古いものだと一層の注意が必要。前のシーズンの燃料を機器に残したままでの再使用は不完全燃焼で火災につながる可能性があるため危険で、余った燃料は廃棄する。
 
 電気コードを伴う器具は収納時にコードを固く束ねない。折り返すように束ねて固定し長期間置くと、コード内のより線が断線し、出火の危険性があるため、束ねずに輪っか状に保管する。使用前には付着したほこりをきれいに除去し、洗濯物やカーテンなど燃えやすいものの近くに器具を置かないこと。たこ足配線も控える。基本的なことだが、外出前や就寝前には必ず火の元を確認し、調理でコンロを使用する場合はその場を離れないことが大切。
 
 新宮市消防本部では昨年度から、住宅用火災警報器の購入に関して高齢者世帯を対象に補助を行っている。火災が発生した際の命を守るためのものだが、全国的に火災による死者は高齢者の割合が高いことを踏まえると、予防の段階での支援を検討してはどうか。特に高齢者世帯では古い暖房器具を長く大切に使用する傾向が見られるが、安全装置の充実した新しい器具への買い替えに補助を出すことも住民の安全を守る方策の一つ。当地方では1人暮らしの高齢者も増えている。物価高騰が住民生活を圧迫し、買い控えが進む現状もある。各自治体の12月議会でぜひ議論してもらいたい。
 
 また、各自治体には運動期間中に限らず、公用車や防災行政無線を使い、火災予防を繰り返し周知し、住民の防火意識向上につなげてほしい。
 

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