震災関連死も含めると約2万2000人が犠牲になった東日本大震災から11日で12年が経過する。トルコ・シリア大地震の発生からは1か月が過ぎたが、両国の死者は計5万人を超えている。南海トラフを震源とする大地震の発生が予想される当地方では、防災・減災対策は常に待ったなしの状況で、一人一人ができる対策に努めることが求められている。
誰もがすぐにできる対策としては、備蓄が挙げられる。備蓄に関しては行政が行っているものの、孤立したり、把握してもらえなかったりで、全ての避難者に行き渡るとは限らない。最低でも3日分、できれば1週間分の水や食料を確保し、衛生用品や常備薬なども加えておけば安心できる。「自助」「共助」「公助」という言葉をよく聞くが、災害の規模が大きく広範囲になるほど、公助は期待できず、まずは自分の命は自分で守り、そして隣近所で助け合うことが大切。そのためには日頃からの準備や訓練が欠かせない。
隣近所の関係が希薄になり、家族構成はおろか、誰が住んでいるのかさえ分からないという地区もあるだろう。しかし、有事を考えた場合、最低限の情報を共有する必要があるのではないか。特に高齢者や障がい者など災害弱者と言われる人たちにとっては、安心感を得ることにつながる。個人情報の取り扱いは慎重にすべきだが、行政や町内会が住民への丁寧な説明で理解を求めてもらいたい。
ハード面の整備は行政の役割。沿岸部の津波避難タワーなどの整備は随分進んだが、避難路となる道路の維持管理には常に注視してもらいたい。新宮市内にある和歌山県管理の道路では、街灯が少なく夜間は暗闇になる中、舗装が劣化して所々に凹凸ができ、歩行者が転倒することがあった。本紙で取り上げた後もしばらくそのままだったが、最近になり一部で修繕されていた。応急的な対応であればスピード感を持って取り組んでほしい。
避難路の危険箇所や修繕が必要な箇所については、地元住民が最も詳しい。道路管理者である行政の職員や普段から地域で活動する議員が、住民の声を聞いて必要な対策を講じ、その後の対応まで確認する流れができれば。防災・減災対策は積み重ねが大切になる。