観光客の入り込みが増える時期となった。東紀州地域は自然が豊かで、世界遺産である熊野古道をはじめ、海、山、川のどの場所でもレジャーが楽しめる。また、自然が育む食、歴史やそれに裏打ちされた文化なども、関心を持ってもらえる事物がたくさんある。
新型コロナウイルス感染症の影響で、一昨年、昨年と夏休み期間中のほとんどの行事が中止を余儀なくされた。今年は、きほく燈籠祭が開催され、6日にはおわせ市民花火が予定されているが、ここにきて第7波が襲来。感染が急拡大する中で、多くの観光客を前向きに受け入れられる状況でなくなってしまった。政府は現時点でこれまでのような行動制限をかけるつもりはないものの、「医療がひっ迫」と聞くと、訪問をためらう旅行者や帰省客もいるだろう。
観光は三重県の基幹産業の一つと言ってよい。東紀州地域も同様だ。すそ野が広く、経済効果も大きいとされるが、そのためには滞在時間を延ばし、地域の店で食事し、土産物を買い、宿泊してもらう必要がある。
東紀州地域観光DMO事業推進協議会は昨年、東紀州地域観光推進計画を策定、今年3月に改定した。基本施策2で「地域資源を生かした魅力的な観光地域づくり」があり、自然・文化等を生かした体験メニューの造成・磨き上げ・活用、サイクリング観光の推進、クルーズ船振興、農林水産業の観光化の推進などの取り組み方針を示している。着実な実行が求められる。
滞在時間を延ばすには、個々の観光資源が魅力的なだけではだめで、それらを連携させる必要がある。一つ一つの観光地の魅力発信は充実している。古道散策や釣り、魚料理を食べる、千枚田を見るなど、観光客の目的の周りにどのような組み合わせでプランが提供できるかが、今後の誘客の鍵になるだろう。
各市町単独ではなく東紀州エリアや周辺の伊勢志摩、和歌山県南部地域などに目を広げれば、より豊富なプラン作成が可能。アフターコロナを見据え、地域全体で観光を盛り上げていけるような取り組みを今のうちから進めておくべきだ。