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社説「円滑接種 準備と情報発信を」

 新型コロナウイルス感染症の切り札と位置付けるワクチンの接種(2回接種の1回目)が間もなく、医療従事者から先行して始まる。感染すれば重症化リスクのある高齢者への接種は4月以降で、その後、基礎疾患のある人、65歳未満へと対象を広げていく予定。

 実務を担う自治体では、接種会場や医療スタッフの確保、接種券の発行などの準備が必要だが、ワクチンがいつ、どの程度届くのかなど、国からの情報が不足する中、本紙エリアの自治体でも、65歳以上から始まる住民接種を円滑に行うため、手探りの状態で作業を進めている。
 
 国は米・英の製薬会社3社とワクチン購入の契約を結んでいる。最も早く国内に入る予定の米ファイザー社製のワクチンは、超低温保存庫が不可欠なうえ、一度解凍したワクチンは短期間で使い切る必要がある。このため保管場所や接種会場への運搬に関してしっかりと準備しなければならない。一方、一瓶で6回分接種可能とみられていたが、国が用意を進めていた注射器では、5回分であることが分かった。一瓶から取れるワクチンの量が減れば、接種できる人数が想定よりも減る。
 
 昨年末に成立した改正予防接種法では、国民には接種を受ける努力義務はあるが、最終判断は本人に委ねられる。どの程度の希望者が集まるかは不透明だが、新宮市は6割~7割程度を想定。想定を超えた場合にも、希望者全員に接種できるよう努めるとしている。
 
 高齢者や障害者への接種には課題は多い。一つは接種会場までの交通手段確保。これには新宮市や紀宝町などでは、送迎サービスも選択肢の一つとして柔軟に対応する構え。二つ目は接種会場での3密回避と副反応が出た場合の対応。接種後、一定時間の経過観察が必要で、複数の部屋もしくは間仕切りなどを設営しなければならない。接種は予約制のため、会場が混雑しないよう人数を調整するが、当日の時間変更やキャンセルの発生も考えられる。不測の事態であっても、解凍したワクチンが無駄にならないよう、さまざまなケースを想定しながら模擬訓練を行うことも検討してほしい。
 
 併せて、自治体が国からの情報を収集し、住民にしっかり発信することが大切。今回のワクチン接種は、社会全体にとっても初めて経験する大きな出来事だ。先行接種の医療従事者から得られるデータも踏まえ、有効性や安全性を発信し、接種者を増やすことが終息への一歩となる。ただし、ワクチン接種が広く行き渡るにはかなりの時間がかかり、一人一人の感染防止対策が引き続き求められる。接種開始が気の緩みにつながらないよう、注意喚起も含めた情報発信も大切だ。
 

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