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社説「見えない"敵"と闘った一年」

 令和2年を振り返ると、新型コロナウイルスという見えない"敵"との闘いの一年だったに尽きる。4月には全国に緊急事態宣言が発表され、不要不急の外出自粛要請や学校も臨時休校となった。和歌山県立高校の休校をめぐっては、地域から感染者が出ていないことを理由に当地域とほかの地域で対応が分かれたが、県境を越えた同一生活圏で感染者が発生したことなども考慮すべきとの声が出た。そんな中、高校生有志らが、生徒の安全安心を最優先に考えるよう求めて署名活動を行い、県教委を動かした。

 多くの事業主はコロナの影響を受けて売り上げが減少した。持続化給付金や雇用調整助成金などの国の支援は手続きの複雑さに戸惑う人が続出。国民一人当たり10万円の特別定額給付金は自治体間で給付時期に差が生まれ、自治体独自支援ではその内容やスピード感について比較された。また、春先から各地でイベントの延期や中止が相次ぎ、伝統の祭事も規模を縮小し関係者のみで行うなど、社会全体と日常生活が一変した。
 
 コロナ禍で生まれた、マスク着用に手指消毒、密集・密接・密閉の3つの密を回避することを基本とした「新たな生活様式」はかなり浸透した。仕事や会議、授業などの分野でのオンライン普及は当初想定したものだが、イベントや懇親会、旅行などのレジャーまで「オンライン〇〇」という形が生まれ、まだまだ終息が見えない状況下、今後新たな形として定着する可能性もある。
 
 現在、第3波で全国各地、さらに和歌山・三重両県の感染者数も増加する中、当地域で感染者の発生はない。地域住民の感染防止への意識の高さが何より大きいが、年末年始も油断することなく、医療体制が脆弱な地域であるということを再認識し、引き続き一人一人が責任ある行動をとってもらいたい。
 
 来年もコロナとの付き合いは続くが、自然災害からの復興と同じように、教訓を生かしながら前進することが大切になる。感染予防と経済を回すことは表裏一体。GoToトラベルをある程度実践する中で、効果と課題が見えたはず。全国一時停止となる年末年始の間に見直すことも一つではないか。
 
 何より願うは早期終息。古くから神仏への厚い信仰を続ける日本人は初詣にその思いを込めて出かける人も多いだろう。ただし、今回は新たな形として、各地の神社仏閣では、3が日にとらわれない分散型の参拝を呼び掛けている。
 

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