今年も早いもので2か月を切った。新型コロナウイルス感染拡大で生まれた新たな生活様式。それぞれの場面で不便さを感じながらも何とか適応しているのが現状。コロナ禍で中止や規模縮小となったイベントや祭りも、来年以降どうなるのか。今回を転換期に生まれ変わるものも出てくるだろう。
そんな中で心配なのは、コロナの影響が本格化した春先から、地区のサロンやサークル活動、福祉施設のデイサービスなど、出かけるのを楽しみにしていた行事が軒並み休止となり、外出の機会が大幅に減ったという高齢者が多いこと。新宮市社会福祉協議会によると、地区のサロンは夏以降に再開したところもあるが、「集まりたい気持ちとコロナが怖いという気持ちが両方あるみたい」というように、最初の一歩を踏み出せない人もいる。
こうした状況が健康不安や認知症の進行につながるケースもある。また、休止や自粛が長引くほど、希薄となっている住民同士の交流が一層停滞してしまうなど、悪循環に陥る。
コロナ禍で新しい生活様式が定着しつつある中、高齢者が置き去りにならないよう、行政が先頭に立って支援の姿勢を打ち出してもらいたい。特に一人暮らしの高齢者に対するケアはこれまで以上に必要になる。将来的な医療費や介護費の増加を抑制するためにも、今年中止になったイベントの予算を高齢者支援にまわすのも一つ。一例として、飲食店や菓子店などと連携した配食サービスはどうか。高齢者にとっては必要最小限の自己負担で、食べる楽しみと、人に会う楽しみができ、一方の店側にもメリットがあるはず。
また、新宮市内では、高齢者対象の地区行事に関して、福祉委員らを中心に運営しているところが多いが、再開に躊躇(ちゅうちょ)する地区があれば、行政に手を差し伸べてもらいたい。安心して集まれる環境づくりとして、会場に設置するための空気清浄機を貸し出したり、感染防止対策のアドバイスを行ったり。大人数が集まるイベントの開催はまだ難しいが、少人数で、参加者の顔が分かるようなイベントは再開させ、地域コミュニティーを守っていくことが、おのずと高齢者支援につながるのではないか。