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紀南抄「ウメの花」

 猛暑や暖冬の影響か、今シーズンのウメの開花は全国的に例年より速いペースで進んでいるという。近所のウメの木もほぼ満開となっており、奥ゆかしくかわいらしい花をたくさん咲かせている。

 今でこそサクラにその座を譲っているが、古くは花と言えば、初春の訪れを感じさせるウメを指していたほど、日本人に愛されていた。ウメをテーマにした文化や芸術もたくさん残っている。
 
 花をめでるばかりでなく、食品としてもウメは身近に存在している。昭和25年に優良品種のウメを探す「梅優良樹選定会」が発足し、5年にわたる研究の結果、現在の和歌山県みなべ町の高田氏のウメが最優勝品種に認定された。この調査に尽力したのが南部高校の教諭と生徒たち。最高級品種として知られる「南高梅」の名前の由来は、校名と高田梅の双方にちなんで命名されたという。
 
 花も実も両方楽しめる植物はそう多くない。しばらくは、貴重な存在であるウメの花の観賞を楽しみたいと思う。南部梅林では、土日祝日などにイベントも企画されている。日本最大規模の梅林を一度は見てみたい。
 
【織】
 

      紀南紗

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