「情けは人の為(ため)ならず」。辞書で引くと、「人に親切にすれば相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分に戻ってくるということ」とある。これは本当だろうか。このように疑問に思うのは、私は人を思いやった行動を取ると、巡り巡ってではなく、即、その場でいい気持ちになるからだ。人の為に見えて実は自分の気持ちがよくなっている。
そういうことを言うと「偽善」という言葉が反論のようにして返ってくることがある。それは結局人ではなく自分の為ではないか、うんぬん…。これは非常に面白い。同じ行動をして同じ公益を得ても、その目的が自分の為か他人の為かで善行の「真偽」がひっくり返るのだ。しかしやらない善よりやる偽善。そもそも先のことわざも、結局は自分の為になるからと情けを勧めている。
能登半島地震への義援金募集が始まり、法人や個人らによる募金の動きが見られる。こういう時にすぐに動ける人は格好良いものだ。しかしすぐでなくても、はたまた人の為でも自分の為でも、善行は善行である。みんなで気持ちよくなりましょう。
【稜】