字を書く、姿勢を正す、腹から声を出す、目を見て話す、あいさつを交わす、約束を守る、他人を傷つけない…。子どもの頃に教わったいろんなことが、大人になって人として大切なことだったのだと再認識する。
書道や剣道の関係者と話していて思うのは、それらが持つ人格形成という側面。きちんと礼をすることやまっすぐ机に向かうこと、気合のこもった声を出すことなど、彼らが語る中に失われそうな大切なものがいくつもあるように思える。
例えば今はスマホやパソコンで文字を書く。便利な一方で筆先の感覚やその人なりの文字というものは失われていく。また、自宅にいても面接ができる。お笑い芸人がばれないように寝転がりながらオンライン面接を受けるというネタを上げていて、さすがに無理があって笑ったが、カメラがオフならどんな体勢でも人と話せてしまう。
教育現場へのICT導入やeスポーツ部導入の検討など、時代の変化への対応は大いに結構。しかしその中心に、テクノロジーと関わる中で何を取捨選択するか、本質的な教育とは何かという普遍的な問いを忘れてはならない。
【稜】