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紀南抄「伝えること」

 新聞記者になって1年半。伝える仕事の難しさと面白さを、目の当たりにし続けている。

 先日の新宮市民大学の講話「今すぐ使えるコミュニケーションスキル」で村松講師が、物事を伝えるまでの過程には自分が伝えたいこと、自分のフィルター、相手のフィルター、伝わったことの段階があるとし、伝えたいことと伝わることは違うと話した。

 これは新聞記事でも同じである。記者は、取材等で集めた情報をまとめて記事にする。それが読者に届く。そもそも一対一の会話ですら100%伝わらないのに、記者は発信者と受信者の間で情報を仲介する。一体いくつのフィルターがあるのか。そう考えると、自分は一体どれほどの情報を鮮明に描写できるのか。

 途方もない挑戦だが、逆に第三者だから伝えられることもある。以前、新宮市出身の写真家・鈴木理策さんが講座で「写真は撮影者が意識していないものまで写す」としていたが、記者もまた、話者が自覚していないこと、読者が潜在的に感じていたことを言葉として表現しうる装置である。

 自分に言葉を託してくれる人々に感謝を抱きつつ、今日またボールペンの芯を入れ替えた。

【稜】

      紀南紗

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