那智勝浦吹奏楽団のコンサートを取材した。最後まで聞いたのは何年ぶりだろう。大いに楽しませてもらった。演奏だけでなく、コミカルな演出を組み込むことで観客を飽きさせない魅力がある。この日は500人以上が来場し、終了後は満足した表情で会場を後にする人ばかりだった。
今年で結成30周年を迎えた。年齢も仕事もさまざまな社会人がメンバーの中心。吹奏楽を”道具”として、社会人の遊び場づくり、交流の場とするのが目的で、和気あいあいとした雰囲気は演奏からも伝わってくる。また、練習に参加するたびにワンコイン(500円)を勝手に金庫に入れるという決まりがあり、練習回数が多いほど損をするシステムというのがユニークだ。
30年間で重ねた演奏会は92か所292回になる。長く続けられるのは団員一人一人の熱意にほかならないが、さまざまな場面で地域への感謝を言葉にする団長の人柄もあるだろう。この日のコンサートでは次の30年を見据えていた。歩みを止めることなく進めるのは簡単なことではないが、この団体であればできそうに思う。応援したい。
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