新宮高校でオープンスクールが行われた。生徒が科目を選んで受ける体験授業では、各教科で工夫した授業が見られた。
特に面白いと思ったのが、松下愉久教諭の生物の授業。松下教諭は「生物とは何ですか」という問いから授業を始めた。生物と非生物の違いとは何か。改めて言葉で説明しろと言われたら、案外考え込んでしまう。松下教諭は生物の定義を「膜があること」「自分たちで増えることができること」「エネルギー変換ができること」と紹介。そして「これらすべての条件を満たすのが細胞。最も小さい生物とは言わないが、生物の最小単位です」と続け、「ではどうやったら観察できるか」という流れに話を展開させた。この授業の主な内容はペットボトルやセロハンテープ、極小のガラス玉を用いて顕微鏡を自作し、染色液に浸した細胞を観察することなのだが、そこまでの話の展開が生物分野の基礎を語る、本質的な学習になっていた。
取材中、東啓史校長とお話させていただいた中で「とにかく面白い授業をするよう伝えている」と聞き、合点がいった。教育のプロが面白さを目指した授業に、取材者まで引き込まれた。
【稜】