先日、新翔高校で「生命のメッセージ展」を取材した。殺人やいじめ、交通事故など、さまざまな事件により理不尽な形で命を奪われた被害者たちの等身大のパネルに、写真と靴、メッセージを添え展示することで、改めて命の大切さや人権意識を訴えようというもの。体育館に30人のメッセージボードが並べられ、生徒は一人一人の思いに触れ、中には目を潤ませる生徒もいた。展示にあわせて講演会もあり、息子を交通事故で亡くした児島早苗さん(奈良市)が「生きていることは当たり前のことではなく、奇跡のようなもの」と訴えた。
相手を思いやる気持ちを一人一人が持てば、事件や事故は圧倒的に減るのではないか。喜び、悲しみ、怒り、憎しみなど、さまざまな感情を持つのが人間だが、いずれの感情も相手がいて湧き上がるもの。相手を傷つけそうな感情を抱いたときは、その場で立ち止まり、相手の気持ちになって物事を考えてみれば、気持ちが和らぐこともある。
「人」という漢字を見てもわかるように、人間は支え合って生きている。当たり前の日常は自分だけの力ではなし得ない。取材を通していろいろと考えさせられた。
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