間もなく東日本大震災の発生から9年を迎える。津波の映像は非常にショッキングで、今でも脳裏に焼き付いている。スマトラ島沖地震の時は、別世界という印象だったと、振り返って思う。
東南海地震から75年の節目となった昨年12月7日、尾鷲市立中央公民館で防災講演会があった。大震災で家族を亡くされた2人が講話し、次の南海トラフ地震で大きな被害が予想されるこの地域のために助言した。
講師の一人が、災害の記憶が風化するのを恐れていると話していた。現地でまちの様子が変わり、新しい命も生まれ、育つ。次世代にどのように伝えるか。また、地域外の人の関心が薄くなっていく。
例えば、節目の年の後、追悼式典が行われなくなるというのは致し方ない部分もある。そのような状況となった時に、忘れられていくのを防ぐのはメディアの役割でもあるが、教育の役割でもある。
科学技術の発達で、記録がたくさん残り、利用できるようになっている。全国各地で、繰り返し大きな地震・津波が起こる地域がある。水害や土砂災害も同様。過去の災害の記憶を風化させず、被害を減らすことが、犠牲者の供養にもつながるのではないか。
(M)