自民党総裁選で、いわゆる〝やらせコメント〟問題が話題になっている。選挙に流言飛語はつきものだが、市井が求めているのは政策論争であって、権力者のコントが見たい訳でもない。
その後の総裁選候補者と中高生の討論会で、高校生の「言論の自由や選挙の公正さにかかわり、民主主義を揺るがしかねない事態」の指摘は鋭く、「今後の政治活動において民主主義と言論の自由をどう守っていくのか」という問いに、明快な答えを返すべき。
対抗馬への中傷ともとらえかねないコメントの例文を見て、「豆殻は釜の下で燃え、豆は釜の中で泣く」と兄弟で争う愚を嘆く七歩詩の逸話を思い返す。批判と非難の境目は難しいものの、人格否定やレッテル貼りにつながりかねない文言は見ていて気持ちのよいものではない。
紀北町も町長選を控える。選挙で争うことになったとして、小さな町内で遺恨になるような議論は好ましくない。国と町の違いはあるが、リーダーとして自分は何がしたいのか、芯の通った政策論争を期待したい。
(R)
