自民党総裁選の話題がテレビからあふれている。連日、立候補者が入れ替わり立ち代わりしてテレビ番組に出演するなど「メディアジャック」そのものだ。
昨年の総裁選は、選択的夫婦別姓や原発再稼働など政策面で候補者の立場がはっきり分かれ、党内外で議論が活発化した。しかし、今回は自分のカラーを極力殺し、派閥の利害に依存している。議員票が欲しいために、裏金議員を党内要職に充てることも否定しない。既存勢力と決別し、党をリセットする強い信念は全くもって影をひそめる。
一方の野党はといえば、独自の政策提言や対抗軸を打ち出し、国民の関心を引くチャンスなのに蚊帳の外に追いやられた。総裁選に対抗できる話題がないから、メディアもそっぽを向いている。
野党が結束して統一候補を首班指名すれば、数に勝る野党が政権を握れる。政治報道の構図そのものを変えることができる野党の見せ場である。支持拡大のきっかけにもなる政変を目指す覚悟がないのか。政権交代の選択肢を自ら閉ざしているように映る。
(N)
