半世紀以上独裁政治が続いていた中東シリアで、アサド政権が崩壊した。2010年からの民主化運動が進んだ「アラブの春」から内戦が続き、死者は40万人以上、さらには難民問題を引き起こし、今世紀最悪の人道危機の一つともいわれている。
反政府勢力を主導したシリア解放機構よる暫定政権が発足したが、国際テロ組織に指定されている。隣国のトルコやイスラエル、アサド政権の後ろ盾のロシアとアメリカの対立など、世界の思惑に引きずられながら中東情勢は常に火種を抱え、多大な犠牲を繰り返す。
日本の隣国も大統領が突如戒厳令を発令し、一気に高まった緊張が解けないまま解除された。国会への軍隊の突入は民主主義国家の光景とも思えない。兵士の銃を掴む報道官の映像が話題となったが、もしあの6時間で軍隊が発砲して犠牲者が出た場合どうなっていたのか。
ふと、日本の平和はまさに瓶の中にある、と思う。中味は水か酒かはさておき、清らかで尊く貴重なものだ。割れないように、と願う。
(R)