取材の際、新型コロナウイルス感染症の影響について聞くことが多い。どの業種も多かれ少なかれ影響を受けている中、地域の基幹産業である漁業がかなり深刻なダメージを受けている印象がある。「魚価が信じられないほど下がっている」「値は下がることは今までもあったが、今はそもそも売れない」「仕入れ先のほとんどがだめになった」など苦況をよく聞く。
コロナ感染拡大の影響でそれどころではなくなったが、コロナ前は地方創生の起爆剤として観光先進国の実現が掲げられ、全国的にインバウンド需要が高まっていた。ミシュランガイドの3つ星の意味するところが「そのために旅行する価値のある卓越した料理」であるように、この地域の海の幸は重要な観光資源といえる。ユネスコの無形文化遺産に登録されている「和食」は新鮮で多彩な魚介類があってこそ。
正月号で取材した若い漁師が「コロナで厳しいが、この時期を生き残れた漁師は強い。漁師の仕事はなくならない」と力強く語っていた。漁業が盛んな地域だからこそ、その維持と活性化のために知恵をしぼることが、地方創生につながることになる。
(R)