尾鷲総合病院の経営が市民の関心事になっている。地域で安心して暮らすためにはなくてはならない施設だが、先行きが不透明である。十数年前からの医師不足や、人口の減少による患者数の減が長年積み重なった結果と言える。
加藤千速市長は、総合病院と尾鷲市はほぼ一体という認識を強調する。総合病院がなくなってしまうと、この地域はますます暮らしにくくなる。一定規模の維持が必要だ。
臨床研修制度の変更で各地の病院から医師が急激にいなくなったころ、紀南病院では年に何度か各地に出向き、住民懇談会を行っていた。内科で受診する時には開業医の紹介状が必要だったと思う。病院像を住民と共有し、受診抑制に理解を呼び掛けた。
人口は今後も減少する。総合病院も地域医療構想の中で規模の適正化を検討しているが、さすがに影響を読みづらい。一方で今後数年、億単位の機器の更新が予定されている。
先日まで開かれた市政懇談会では中心的な話題にならなかったが、重要なことと思う。市民、執行部、病院運営者のそれぞれの思いを共有するためにも、コロナ禍が落ち着いたらぜひ、紀北町も含めて懇談会を開いてほしい。
(M)