那智勝浦町の「熊野那智大社と那智山青岸渡寺」がこのほど、アメリカの雑誌「TIME(タイム)」の「世界で最も素晴らしい場所2025」に選出された。全世界100か所のうち、国内では4か所が選ばれ、和歌山県内では初の選出になるという。
「TIME」は、1923年創刊のアメリカの雑誌で、世界最大級の発行部数を誇る。「世界で最も素晴らしい場所」は、毎年、新しいわくわくするような体験を提供する場所に注目し、滞在・訪問するのに最適な100の目的地を選出して、「訪れるべき場所」「宿泊すべき場所」に分けて紹介している。
今回、日本国内では4か所選出された。そのうち「訪れるべき場所」として49か所選定された中の1つが「熊野那智大社と青岸渡寺」。熊野那智大社の別宮・飛瀧神社のご神体である那智の滝と那智山青岸渡寺の三重の塔の写真が取り上げられた。
記事では、京都がオーバーツーリズムに苦しむ一方、わずか1時間の距離の紀伊半島に、日本古来の情緒あふれる名所がいくつもあると説明。紀伊半島では高野山や吉野山などにも触れつつ、「最も神秘的」な聖地として、那智の滝と三重塔、その周辺の環境・背景を紹介している。
これについて17日、那智勝浦町が記者発表。今回のTIME誌による選出はインバウンド誘客施策の大きな成果ととらえていると説明した。同町は那智勝浦観光機構、和歌山県と協力して、2023年3月に観光庁の「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりモデル観光地」に応募し、選定された。以来、現在は和歌山県、奈良県、三重県の3地域が共同で「紀伊半島(KII PENINSULA)」として欧・米・豪の特に富裕層へのブランディングを進めている。
堀順一郎町長は「(関係者が)営々と守り育ててきた熊野文化が改めて評価された。海外のお客さんがさらに増えるのではないかと期待している」と喜んだ。那智勝浦観光機構の清水貞吾理事長は「ありがたい。これからもっと那智勝浦町が観光の町であることを表に出していきながら、町に訪れていただけるよう頑張っていきたい」とした。
那智山青岸渡寺の髙木亮英住職は「まさか世界のタイムに取り上げられるとは」と驚きを示し、景観の裏に秘められた神仏が一体となっている日本の宗教観が背景にあることを語った。熊野那智大社の男成洋三宮司は「取り上げられるということは、それだけ那智が世界に認められる価値の高い場所だと言えるのでは。自然の中に聖なるものが感じられる場所。日本の精神性を海外の方に感じ取っていただければ」と語った。
オンライン版では、すでに発信されている。紙面版は今月24日(月)発刊予定。