尾鷲市の令和5年度水道事業会計決算は、1580万円(以下1万円未満切り捨て)の純損失を計上し、2年連続の赤字だった。財務状況の悪化を踏まえ、今年4月から水道料金を平均34.6%引き上げた。6年度は黒字へ経営改善を見込む。
上水道と簡易水道の料金収入である給水収益は、対前年度比(以下同じ)2820万円(7.4%)増の4億860万円。新型コロナウイルス感染症対策の水道料金の減免を行わなかったため増収となった一方、地域の実情に応じて使える「コロナ交付金」を充当しなかかったため、その分一般会計を含む他会計補助金が減収。それら営業外収益が3105万円(45.0%)減少し、総収益は4億4867万円で288万円(0.6%)の減となった。
対する総費用は4億6447万円で、692万円(1.4%)の減。取水や井戸、浄水場などの施設の維持管理に要する「原水および浄水費」が516万円(5.8%)減の8357万円、減価償却費が619万円(3.0%)減少した。
給水戸数は8801戸で、前年度より127戸の減。1年間の総配水量336万830立方メートルのうち、水道料金の対象となった総有収水量は225万4584立方メートルで、前年度より5万2444立方メートル(2.2%)減少した。
有収率は67.0%で、前年度よりも0.64ポイント低下した。全国平均に比べて依然として低水準にある。配水管の老朽化による漏水が主要因と考えられ、管路の整備が急務となっている。
13年ぶりとなる料金改定もなお、人口減に伴う給水戸数の減少により使用水量の減少は今後も継続すると考えられる。監査委員の決算審査意見書では、有収率低下の原因の施設老朽化の改善に多額の投資が必要とされ、今後も厳しい経営状況が続くものと指摘し、「徹底したコスト削減を行うとともに、災害に強い施設整備を実施していくことで安定的な水の供給に努めていただきたい」と述べている。