第6回八鬼山荒神堂三宝大荒神護摩供が10月6日(日)正午から、尾鷲市の八鬼山荒神堂で行われる。金峯山修験本宗の五條良知管長(総本山金峯山寺管領)が導師を務め、地域の繁栄や安泰、世界平和などを祈願する。これに先立ち5日(土)正午から、同市向井の三重県立熊野古道センターで五條氏による講演会、護摩供養と火渡りの体験会が行われる。荒天の時は中止となる場合がある。
6日の護摩供は八鬼山荒神堂保存会が主催。八鬼山荒神堂は江戸時代中期に熊野詣でが盛んなころ、西国三十三所巡りの一番札所・青岸渡寺の前札所として信仰を集めていたといわれている。建立時期は不明だが400年以上の歴史がある。同会の野田隆代会長によると、昭和に入っても戦時中は「お参りしておくと弾が当たらない」などと多くの人が参拝していたという。
その後、道路事情の改善などもあり参拝者が減り、建物も廃れていたところ、野田会長らの呼び掛けで2019年9月に再建。以後毎年秋に五條氏を招いて護摩供を行っている。
これに合わせて尾鷲観光物産協会が見学ツアーを行う。三木里側から八鬼山を越える健脚向けコースと、林道から八鬼山山中に入るプチトレッキングがある。
健脚向けは歩行距離約10キロ。午前7時に熊野古道センターに集合する。プチトレッキングは午前9時50分に市役所集合。林道から約30分山道を歩く。いずれも尾鷲セラピストガイドが案内する。ともに先着20人を募集している。最少催行人数は15人。
会場では護摩木を1本500円で受け付ける。また、お札(300円)と尾鷲ヒノキで作ったお守り(700円)も授与する。
講演会、護摩供体験 9月5日 熊野古道センター
5日の講演会、体験会は尾鷲市が、世界遺産登録20周年記念事業として取り組む。正午から「共祈り」を行った後、五條氏が約1時間、「紀伊山地の霊場と参詣道」に関し、歴史や文化、価値について語る。定員は200人。その後、護摩供、火渡りの儀式を行う。同保存会が護摩木を寄付しており、小中学生らに配布している。希望者に、好きなことを書いて参加してもらう。当日も受け付けるが一般分(有料)は6日に使用することもあるという。
野田会長は「五條猊下(げいか)にここまで来て護摩を焚(た)いていただくのはとても意義のあること」と述べたほか、荒神堂の世界遺産追加登録に向け市にも動いてもらっている。市がもっと関わって荒神堂を売り込むべき」などと話した。
5日の体験会に関しては「修験道は歴史。熊野古道センターで護摩供養をやるのは画期的」と語り、「荒神堂にのぼれず、残念に思っていたお年寄りには、もう一度、(荒神堂に参った)感動を思い出していただけると思う。子どもたちには、日本古来から続く歴史的な『祈り』に触れてもらえるはず。保存会がこのような役割をできることに感謝する」と語り、多くの来場を呼び掛けていた。
八鬼山荒神堂での護摩供に参加する人は、事前に野田会長(090-6765-3871)または尾鷲観光物産協会(0597-23-8261)に連絡する。できるだけツアーへの参加を呼び掛けている。
護摩木は保存会、観光物産協会のほか、九木浦共同組合、尾鷲藪漕隊、伊藤石油、中村組、つぐみ工房、日本料理大福にも置いている。