10月の例大祭控えて
新宮市の熊野速玉大社は18日、同大社双鶴殿で、今年の例大祭(10月15日〈火〉・16日〈水〉)に関する「事故防止協議会」を開いた。祭典関係者ら約40人が出席する中、上野顯宮司は「国の重要無形民俗文化財に指定されているお祭りということを念頭に、世界遺産登録20周年の節目でもあることから、事故やけがなく、賑々(にぎにぎ)しいお祭りにしたい」と語った。
同大社を中心に市内街路で行われる大規模な祭典。「新宮の速玉祭」で国の重要無形民俗文化財に指定されており、紀南地方で最大の秋祭りとしても知られている。
祭り開始を告げる本殿大前ノ儀は、15日(火)午前11時から斎行(さいこう)し、午後2時に神馬(しんめ)渡御式、4時30分ごろ御旅所神事を行う。2日目の神輿(みこし)渡御式は16日(水)午後2時から。大社を出発した神輿は市内を巡行して4時ごろに熊野河原へ。神幸船神還しの儀を行ったあと、御船祭では、4時30分ごろに神幸船出船、5時30分ごろ御旅所神事を行う。
協議会では、祭典の概要について濱中孝成禰宜(ねぎ)が順に説明。渡御行列の際の交通誘導や周辺警備をしっかりと行い安全対策に万全を期すことなど確認しながら進めた。同大社から阿須賀神社に向かう神馬渡御式は、コロナ禍が明けて例年通りの形に戻した昨年から、道路幅員の広い登坂を往復する順路を試したが、今年も同様に行うことを確認した。
新宮署交通課の岡本暢夫係長は、道路使用許可に関する注意点について説明。神輿渡御で国道42号を横断する際の“練り”について触れ、「一昔前は神事だから少しぐらい大丈夫という意識があったかもしれないが、世の中の流れも変わり、今ではルールに反しているとSNSにアップ(投稿)され、せっかくの伝統あるお祭りの格式にも関わってくる。ルールをしっかり守って粛々と神事を行い、事故なく良い祭りだったと終わるようお願いしたい」と協力を求めた。
続いて、御船祭に出船する9地区の代表者らに、準備から後片付けまでの日程を確認しながら注意事項を伝えた。船大工の谷上嘉一さんは、現在使用している本番船は造船から20年ほど経過したが、管理が行き届いているため良好な状態であるとし、「これを100年間使ってほしい」と思いを伝えた。一方で、近年は乗り手の操船技術が低下していることに懸念を示し、「艫(とも)取り中心に技術向上に努めてほしい」と呼び掛けた。