理由あって父は今、少し離れたところの病院でお世話になっている。面会時間や人数の制限、事前予約制などでタイミングが合わず、長らく顔を見に行っていなかった。いや、そんなのは言い訳である。行こうと思えばいつでも時間は作れたのに。
病院での様子は関係者からよく聞いていたが、叔父とともに面会に行ったのはつい先日。入院する前から認知機能が低下していたので、もしかしたら私のことも分からないかもしれない。そう思いながら病院に向かった。
面会室で向かいに座った瞬間、父は一目で私と叔父だと理解し、目を赤くした。弱いところは決して見せなかった父が見せた涙。「何で来てくれたん」と静かに喜ぶ姿に、面会に来なかったことを激しく後悔した。
15分という短い時間だったが、お互いに有意義な時間を過ごせたと思う。面会は月に1回の制限があるので、次は約1か月後。私の知らない古い知人のことなどはよく覚えているようだったので、「次は昔の写真を持ってくるね」と約束した。父の誕生日も近いので、何かプレゼントも持っていこうかな。
【織】