那智勝浦町の学童保育で夏休み中に実施している高校生ボランティアの受け入れだが、地元高校4校で募集したところ、予想を超えて22人から申し込みがあったという。町担当者も「びっくりしました」と驚いていた。
昔は当たり前に地域全体で子どもを育てていたが、最近は住民同士のつながりが希薄化しその文化も弱くなっているという。これ自体は単なる変化ともいえようが、こと子育てについて言えば、支える手の本数が減ったのだから難しくなるのは当然だろう。
ただ、今回のボランティアの状況から、時代が変わろうと人の善意は変わらず芽生えているのだと気づく。最近は地域活性化の活動をメインに据えたクラブ活動も出てきて、新翔高校の地域未来づくりプロジェクトチームも活躍している。
個々に点在している人々の善意をつなげていかに社会に還元できるような環境を作るか。それが令和の共同体の考え方であり、那智勝浦町の学童保育の取り組みから見えた兆しではないだろうか。参加していた高校生の中には、その学童で昔世話になっていた人もいた。縁も健やかに巡っている。
【稜】
