紀伊半島大水害で被災した経験を後世に伝えるため、防災士として紙芝居での語り部活動を続ける、那智勝浦町井関の久保榮子さんが、日本防災士機構の防災士功労賞を受賞した。語り部活動は、同町市野々にある和歌山県土砂災害啓発センターの啓発事業と連携して実施。小中学校から高齢者の集まりまで幅広い要請に対応し、体験者だからこそ伝えられるメッセージを届けている。
久保さんがこれまでに実施した語り部活動は100回を超える。取材で何度か拝見させてもらったが、話だけでなくイラストがあることで当時の状況をイメージしながら聞くことができ、早めの避難の必要性を訴える久保さんの思いがきっと聴講者の心に響いているはず。現在82歳で、「米寿(88歳)までは頑張りたい」と意気込んでいる。
”生の声”に勝る教材はない。本紙エリアの小中学校の防災教育で同センターをもっと積極的に活用してほしい。久保さんは「避難することが文化になれば」と願っており、子どもたちにその考えを浸透させれば、各家庭から近所や地域に広がりを見せるのではないか。
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