世界遺産を未来へつなごうと、新宮市の熊野速玉大社で中高生を対象とした「くまのこどもサミット」が開かれた。世界遺産登録20周年を記念した事業で、同大社では初めての試みだった。
中高生たちの発表は、子どもならではの視点で「なるほど」と思わせるものが多かった。各校の授業でふるさと教育として世界遺産を学び体験する機会はまずまずあるようだが、そこから踏み込んで、自分たちに何ができるかを考えることは今回のサミットが大きなきっかけになった。
難行苦行の果てにたどり着いた人たちを分け隔てなく受け入れてきたのが「熊野」。一方で、子どもたちの意見の中には、来訪者の心無い行動で自分たちの宝物を傷つけられたことを悲しみ、この場所を愛して大切にしてくれる人だけ来てほしいと切実な思いもあった。
いろいろな意見があり、一つの正解を導き出すようなことではないと思うが、自分たちの住む地域の宝について、まずは知り、未来への継承を考えることが大切だと気付かせてくれた。宮司も若い世代の声が聞けただけで成功と話していたように、大変有意義なサミットだった。
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