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紀南抄「慣れ」

 「コロナの本日発表分の資料ですが、FAXで送っていただくことはできますでしょうか」「ではお願いします。失礼します」—。和歌山県庁広報課報道班との電話のやり取り。かれこれ何回やっただろう。向こうも同じ対応を数多くしていると見えて「コロナの資料でしょうか」「はい送ります」という言葉がまるで台本でもあるかのように定型文化しているのだが、私も私で先の文言が口に定着し、ロボットのように棒読みしている。
 
 このやりとりから、私は慣れ、あるいは惰性に任せて口を滑らせていたことがわかる。何事にも新鮮な気持ちでありたいので「これはいかん」と思いつつ、しかし“慣れ”は生物の機能であり何にも慣れずに生きることはできないとも頭で理解する。トイレに行く、歯を磨く、歩みを進める、言葉を発する・・・。全ての行動や思考を自分の意識下で新鮮に行うことなどできない。心理学では生物が環境の変化や刺激に生理的に順応することを「馴化(じゅんか)」というが、私の生活は常に惰性と馴化と慣習と習慣の中にある。
 
 それでも子どものような新鮮な気持ちを持ち続けることはできるだろうか。
 
【稜】

      紀南紗

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