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紀南抄「恵方巻きと食品ロス」

 節分の日に恵方を向いて食べると縁起が良いとされる「恵方巻き」。古来の伝統行事というわけではなく、江戸時代や明治時代に商売繁盛や節分のお祝いなどで、大阪などの商人や芸子たちが食べていたという。それが1990年ごろに某コンビニが販売したことで、一気に全国区へと広がった。

 現在では定番の海苔巻きのほか、金粉をあしらった豪華なもの、韓国の海苔巻キンパ風のもの、イクラやトロなどの高級海鮮入りのものまで多種多様。子ども向けにも、模様を付けた薄焼き卵で巻いたり、具をキャラクターの顔に並べたりと工夫が凝らされている。太巻きに見立てたロールケーキなどのスイーツも人気。

 コロナ過においても右肩上がりでマーケット規模は拡大しており、隆盛を極めている感もある。しかし大型スーパーに勤める知人は節分当日に、「今日は忙しい。恵方巻きをたくさん作って売らなければならない。どうせ夕方には大量に売れ残るのに」とため息。食品ロスに厳しい目が向けられる中、年々破棄問題は改善しているというが、予約の強化など、より一層需要にあった販売をすることが重要だと思う。

【織】

      紀南紗

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