環境への適応は、生物の使命だ。
寒い季節がやってきた。北海道出身なので「寒さは得意なんでしょ」と言われるが、恒温動物たる人間なので、得手不得手でどうこうできるレベルではない自然の冬には全くもって無力である。加えて北海道の室内は暖かくすることに対してどこに行っても本気であるため、室内だけで純粋に比べるとむしろ本州の冬のほうが寒かったりもする。
熊野に来て初めての冬を体験し、底冷えする室内に耐えかねた私はついに、電気ストーブと高めの毛布を購入した。これは寒さに対する敗北ではない。むしろ、変化する自然環境に対し人類の叡智(えいち)をもって適応という結果を得た勝利である。2つのアイテムにより、私の冬の生活の質は格段に向上したと言える。
ダーウィンが進化論で示したことの一つは、生き残るのは体が大きい種でも、力が強い種でもなく、環境に適応できた種であるということだ。これは企業や個人に関しても当てはまる原理と思う。
その観点で言うと、私はこの冬を生き残ることができそうなのである。先人たちの積み上げてきた功績と歴史に感謝を抱きつつ、今日も安眠を獲得する。
【稜】