「感染者、濃厚接触者やその家族、感染症の対策や治療を行っていただいている医療従事者の方とそのご家族に対する偏見や差別につながるような行為は絶対にしないよう、お願いいたします」。新型コロナウイルス感染症で、3月30日に鈴木知事が県民へのメッセージの中で伝えた。
感染拡大とともに世界各地でアジア系住民への差別が伝えられているが、国内でも教授が感染した福島県の女子大への苦情の電話をはじめ、同大学付属高の生徒や学校関係者への嫌がらせに加え、全国的に医療従事者やその家族への偏見、感染した学生などを特定しようとする動きさえも起こっているという。
人は不安になった時、自分と区別したがるようだが、いわれなき差別やからかいを受けた人はどう感じるか。風評被害を受けている店舗などもあり、差別的な言動が、立ち寄り先の聞き取りに影響すると指摘する専門家も。拡大防止に極めて重要な感染経路の正確な把握ができず、感染経路不明の感染者が次々と発生する恐れも懸念されている。
不当な扱いがあってはならないことは言うまでもないが、感染症を食い止めるためにも、差別と偏見をなくす意識が必要である。
(J)