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不連続線「馬越峠で紙一重の遭遇」

 世界遺産・馬越峠で筆者は一歩間違えれば、命の危険にさらされるところだった。

 先日の取材時のことである。同行した取材相手は、鷲毛の登り口から幾度となく足を止めて話し込み、一向に歩みが進まない。しびれを切らしたので一人で先回りし、静寂の夜泣き地蔵の前で相手を待ち続けた。下山時もまた、一人の気楽な道中だった。

 その日の弊紙を見た瞬間、背筋が凍りついた。紙面には、まさに筆者が一人でたたずんでいた「時間」と「場所」で、ツキノワグマの目撃情報が載っていたのである。笑い話では済まされない、生と死の境界線に立っていた。

 近年、全国的にクマの出没エリアが広がり、人里や登山道での遭遇リスクは確実に高まっている。自然への畏敬の念と十分な備えがなければ、いつ惨事に巻き込まれてもおかしくはないのだ。「自分だけは大丈夫」という油断は、文字通り命取りになる。

 取材相手も大丈夫だったようだ。現場で案内役が奏でた尾鷲節の篠笛が、図らずも魔除け(クマよけ)となったのではないか。

(N)

      不連続線

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