うだるような暑さが続く毎日、最も苦しめられているのは熊本県の被災者だろう。インフラが途絶えた過酷な環境で、心身ともに限界の避難生活が続いている。
文部科学省のデータでは、避難所に指定される小中学校体育館のエアコン設置率は東京都の95.9%に対し、熊本は20.9%にとどまる。財政力の差が安全の格差を生んでいる。
今年3月、熊本市に長射程ミサイルが配備された。戦後、外国から軍事攻撃を受けたことがないのに、この先の不確実な有事に備える。配備に要した約1770億円を防災・減災に回せば、県内全校にエアコンを整備しても余りが出るのは明らか。避難生活の暑さに耐えかねて体調を崩し、最悪の場合は災害関連死に至るこの事態こそ、わが国の「存立危機事態」である。
国が巨費を投じるべきは地震や豪雨、火山噴火といった目の前にある災害の脅威ではないか。地方の悲痛な現場の声に耳を傾け、防衛費の一部を防災対策へ振り向けることが、国民の安全を確実に高める。誰も異論はないはずだ。
(N)
