燈籠祭が近づくにつれ、昨年の盛況ぶりを思い返す。長島港の空と海に広がる花火をとらえた写真が評判を呼び、想定以上の人が集まり、一時的にオーバーツーリズムと似た状況になっていた、と考えている。
燈籠祭は今回から臨時駐車場で清掃協力金を徴収することになった。町民には一世帯1台分の駐車券を配布しており、紀北町民の夏の楽しみの維持に努めている。
コロナ禍で全国的にイベント開催に二の足を踏む中、長島は燈籠花火に年末港市と果断に動いてきた。状況次第では批判を受けかねない中で開催に突き進んでいた理由は、生まれ育った地域と伝統のため、これに尽きる。この長島の独立独歩の気風に根ざす燈籠祭が、コロナ禍で倦(う)んでいた人々の心を鮮烈に打ったのだと解釈している。
先の清掃協力金が奏功するかは未知数で、おそらく今後の燈籠祭はオーバーツーリズムと付き合いながら行っていくことになる。実行委員も住民も苦労は多くなるが、今年もなんとか紀北町の夏の華をきれいに咲かせてほしい。
(R)