静岡県の川勝平太知事の入庁式の発言が差別的だと議論を呼んでいる。知事の資質や進退は関知するところではないが、問題の部分の直後にある「県庁はシンクタンクである」という趣旨の発言について考えてみる。
経済活動が活発な都市部では、教育や医療、福祉、交通、まちづくりを市場の原理から民間が推進していく面がある。その一方で、地方は行政などが補填していく必要があり、そのためには知恵が必要だが、多様なアイデアは人が集まる都市部の方が発生しやすい、という矛盾がある。
シンクタンクは企業の経済戦略や行政政策の立案を行う存在だが、研究機関や大企業が少ない地方はアイデアの創出がどうしても個人頼みになる。
国自体が人口減少の局面に入り、地域が生き残るためには国益ならぬ「地域益」を生み出さなければならない。その地方の実情に即した経済戦略や施策を考え、地域の可能性を見いだしていく必要がある。自治体や商工会議所、商工会は地域のシンクタンクとしての役割が期待される。
(R)