大手企業の春闘は、賃上げの報道が続いている。「中小企業に波及するかが課題」との解説をよく聞くが、中小企業および地方の企業が賃上げできる環境づくりが必要だろう。
搾取とまではいかないものの、大手企業が過去最高の利益を出す中で、関連の下請け、孫請け企業の経営は厳しい、というケースはよくある。アベノミクスでトリクルダウンが起こらなかったのは、下請け企業に十分な利益が回らなかったから、と考える。儲けている企業は従業員給与の引き上げとともに、下請け企業が同様に賃上げできるように配慮をしないと、賃上げ効果が波及しない。
地方ではより厳しい。平成以降を考えると「失われた30年」の間、合理化を旗印に大手企業の地方の拠点がどんどん無くなった。人口減は事業所にとってはすなわち顧客減である。また、事業所間取引と違い、消費者相手の商売だと、賃上げ分も含めて価格転嫁はさらに困難。
給与水準の格差が地方の担い手不足を引き起こしている。地方振興のためにも格差是正の施策が求められる。
(M)