二十歳のつどいの来賓あいさつで、元日の能登半島地震に触れて「皆さんが無事帰ってこれたことに感謝したい」の言葉にうなずいた。全国的に暗いニュースが続く中、旧交を温める明るい笑顔を見ていて、なんだか救われた心持ちになった。
今回の対象者は高校生活でコロナが直撃した世代。春の選抜と夏の甲子園が中止になったのは3年前、高校2年生の時。突然の全国一斉休校、オンライン学習の推進、感染に不安を抱えながらの受験や就職活動、就職や進学の新生活と、コロナに青春を邪魔された世代、といえる。
「若い頃の苦労は買ってでもしろ」という言葉は好きではないが、当人たちが決して望んでいなかったとしても、急峻な山で手をかけて硬く美しい尾鷲ヒノキが生まれるように、苦難や苦労を乗り越えたからこそ得られるものは確かにある。
きっと彼らは私たちを追い越し、この国や地域を支え発展してくれる、そんな存在になっていくのだろう。若い芽をつぶさぬよう、耳を傾け、可能性を伸ばしていく社会が必要となる。
(R)