埼玉県議会で自民党県議団が提出した、小学3年生以下の子どもの〝放置〟を禁止する県虐待禁止条例の改正案は一転、取り下げとなった。世論が政治を動かした好例ではないか。
車の中の子どもを置き去りにして、死なせてしまう事故が後を絶たない。小さな子どもを一人にするのは防犯上のことだけでなく危険で、保護者が気を付けなければならないが、限度がある。
小学生の子どもなら、留守番を任せて親は買い物に、というのは当たり前に行われている。小学校低学年でも一人で登下校するし、放課後には子ども同士で遊ぶ。生活の中の場面を考える力が全く欠けていると批判されても仕方ない。質疑応答で運用の方針を厳しく考えているという姿勢を出したのもよくなかった。
過不足なく法律や条例に要件を書き込むのは大変難しいと思うが、努力義務とはいえ行動を制限するものなので慎重な検討が必要だった。理念はよく分かる。他県の話であるが、どうやって保護者に「気を付けて」と呼び掛けるかは、全国共通の課題だ。
(M)