4年ぶりの八幡祭りの道中踊りは晴天に恵まれた。魔を払うという長刀振で「よいしょ」と声が掛かる度に、心の中の澱(おり)が溶けていくような、そんな感覚があった。また一つ、尾鷲がコロナ禍を乗り越えた証を積み重ねたと言える。
新型コロナウイルス感染症の5類移行から風向きは完全に変わったが、3年以上のブランクを埋めながら、人を集め、神事の準備をし、踊りの練習を重ねなければならない。結果として祭りは4年前と同じようににぎわい、雰囲気も上々だったが、祭りの関係者やそれぞれの町がよく対応したからこそ。
快晴に恵まれたのは良かったが、高い気温と強い日差しで、体感は完全に真夏。この暑さが今年だけとは限らない。日程や時期は祭りのアイデンティティにも関わる。過疎化が進む中、各町の手踊りがいつまで維持できるかどうか。
課題があるということは、未来があるということでもある。見物客の「本当によくやってくれた、ありがとう」という言葉にうなづく。祭りは、やはりまちを明るくする。
(R)