紀北町のし尿処理と浄化槽の清掃を担う許可業者の役員と元従業員が詐欺の容疑で逮捕された。くわしいことは今後明らかになるとして、社会に必要不可欠な生活サービスをどう維持していくのか、という問題をつきつけられている。
今後の動向によっては許可を取り消さなければならないが、その場合の受け皿はどうなるか。この事態を招いた要因の一つとして、浄化槽の清掃の許可業者が海山、紀伊長島地区でそれぞれ1社で〝独占状態〟であったことは否定できない。欠くことのできない生活サービスを担っていた事業者の信頼が揺らいでいる現実が重い。
今回の事例は形こそ特殊ではあるが、生活の支えとなる事業の継続が困難になることは今後も発生し得る。人口減少が進む地域において、人手が集まらず、後継者もなく、市場が縮小して採算がとれない問題は珍しくない。この地域でこれからも豊かに生きていくために、どのようにさまざまなサービスを維持していくのか、しっかりと考えていかなければならない。
(R)