断捨離や終活がブームになっている中、ある有名作家は処分することを美徳とする風潮に抗う。どの品物にも買ったときの人生の風景や記憶が宿っているから。過去を思い出すことで心が生き生きとし、明日への活力になるというのだ。
豪邸に住んでいれば、思い出の品を並べて懐かしむのもよかろうが、マッチ箱のような家に住んでいると、どこかで見切りをつけて捨てないと居住空間がどんどんなくなってしまう。
若いころは人生の先も長いし、比例して物欲も強いが、先が見えてくると買うものが減り、生活も質素になってくる。そもそも要らないものを買わないから、捨てるものも増えない。
若い世代の家の中には使わずに置いたままの品物がごろごろしているのではないか。捨てるのはもったいないし、誰かに譲りたいと考える人も多いはず。
使わなくなった物や譲りたい品を持ち寄る公営のリサイクルショップがあればうれしい。値上げラッシュが庶民を苦しめる中、品物を手放した人も手に入れた人も喜べるに越したことはない。
(N)