早田大敷で漁師の研修を受けた21歳の若者を取材した。千葉市出身で北海道在住、漁業をやりたい一心でゆかりもない三重県に飛び込もうとし、県定置漁業協会や早田大敷などが研修という形を整えたという裏話があるが、「叩けよ、さらば開かれん」といった感がある。
漁業に興味を持った理由を聞くと、「魚が好きで、魚が獲れなくなっていると聞いていて、養殖を学びたいと思った」と語る。実はこれと同じ趣旨の言葉を2か月前の元日特別号の取材で、尾鷲物産で働く愛知出身の23歳からも聞いている。2人とも魚が好きで、自然環境や水産資源に不安を感じており、養殖という解決方法に活路を見いだしている。社会貢献に資する夢がある若者が、その仕事をするために尾鷲に来ている。
日本は観光立国を重要施策に掲げているが、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている和食に漁業は必要不可欠であり、そもそも排他的経済水域の面積が世界6位の海洋国家である日本にとって漁業の維持と活性化に注力するのは理にかなう。先の2人のような若者が尾鷲に増えることは、この地域のためだけでなく、日本全体にとっても良いことだ。
(R)