地方は過疎化に苦しんでおり、人口減少で市場が縮小し続けている。地域に密着した仕事の売り上げが減れば、必然的に労働条件が厳しくなり、人口の流出が加速する。競争の原理どころか、サービスそのものがなくなり、さらに生活が不便になる。この悪循環は国家の病と言っても過言ではないだろう。
地方の活性化策として期待されているのは観光業で、尾鷲市には海、山、川と豊かな自然があるが、観光誘客が成功しているとは言い難い。もちろん無策だった訳でもなく、温泉がないまちに夢古道の湯をつくり、最近はSEAモデルを打ち出してはいるが、結果を出しているとは評価できない。
地域が衰退しても、まちに根付いた事業者は自力で生き残るしかない。街角の一角にある店がこれからも経営していくために、どれだけの努力と覚悟が必要なことか。
観光誘客の要として、夢古道の湯には透明性と合理化を徹底した経営が求められている。市に頼らず自力で黒字が出せるほどの経営ができれば、尾鷲の活性化の大きな力になるはず。そのために、必死で経営改善の努力を積み重ねている地域の事業者にこそ、学ぶべきものがあるのではないか。
(R)