働き詰めだった父の唯一の娯楽がパチンコで、休日の晩御飯ができるころを見計らって父を迎えに行くのが小学生のころの習慣だった。騒音が混ざり合う店内で、見覚えのある背中を探し歩いた感覚は今でも思い出せる。
大衆娯楽として日本社会に溶け込んでいるパチンコだが、新型コロナウイルス感染症流行後は客の入りが半分ほどに落ち込んでいて、東紀州5市町ではここ3年間で3店舗が閉店して残るは5店舗となった。コロナだけでなく、規制変更や禁煙化という業界の変化の影響も大きく、業界として苦境に立たされている。射幸心を刺激するという意味では、スマホゲームのガチャに客が流れていることも考えられるし、国内でカジノ産業が活発化すれば、パチンコ業界にも何らかの影響を受ける可能性もある。
パチンコに関わらず、コロナとそれによる社会の変化の影響を受けている業界は多岐にわたるが、生命や安全にかかわる医療現場を筆頭に、飲食業や観光業に議論が集中しており、細かいところまで目が行き届いていないのが現状。この3年間で社会がどう変わっているのか、丁寧に分析していく必要がある。
(R)